第67回全日制課程 卒業証書授与式 答辞【全文】
 

 厳しい冬もようやく終わりを告げ、新しい春に向けて桜のつぼみも膨らみ始める今日この頃、私たちも新たな一歩を踏み出します。

 本日は私たち卒業生のためにこのような盛大な式を挙行していただき、誠にありがとうございます。ご多忙にも関わらず、たくさんの方々のご臨席を賜り、卒業生一同心より御礼申し上げます。先ほどは加藤雄彦校長先生、ご来賓の方々、そして後輩からの心強い餞の言葉を深く心に刻むと共に、新たに始まる人生の第一歩を、意気軒昂たる心持ちで踏み出してまいります。

 光陰矢のごとしと申すように月日が流れるのは早く、3年前の4月、希望や不安を胸にこの多賀城校舎グローリーホールで入学式を迎え、私たちの高校生活は幕を開けました。
 私は入学当初のことを今では鮮明に思い出すことはできません。覚えているのは真新しい制服に身を包み、これから過ごす3年間に向けての不安と期待が入り混じった心境だったこと、震災の影響により宮城野校舎が使えない状況にあったため、予定していた校舎とは異なる校舎での学校生活となり、思い描いていた生活とは少し違っていたことです。

 この3年間を振り返ってみますと、数多くのドラマがありました。育英祭をはじめとする数々の行事や日々の些細な出来事など、どれも一言では語ることはできません。
 未だ高校生活にも慣れていない頃、開催されたクラス対抗の「スプリングチャレンジ」では各々のクラスがより高い順位を目指そうと団結力を試し、持てる力をぶつけ合いました。今思えばこの行事を契機に、堅苦しい雰囲気でぎこちなかったクラスにまとまりが生まれ、打ち解けることができたのではないかと思います。

 2年次になる頃には待望の新しい宮城野校舎が完成し、各々のコースが元居た校舎に戻るという知らせは私たちにとって嬉しい知らせでした。1年次は、多賀城校舎の敷地に震災前と比べ、多くのコースと生徒が集まり、学びを共にするという環境は決して快適とは言い難く、一部の生徒は狭い敷地に建てられたプレハブ校舎で学ばなければなりませんでした。新しい宮城野校舎が完成し、あの震災から復活するという姿は「逆転の仙台育英」を表しているかのようで、その姿は私たちに希望と勇気を与えてくれています。

 夏には先輩方が築き上げてきた育英祭がより一層盛り上がるよう、各団体が知恵を出し合い、様々な人たちによる出展や催し物が軒を連ねました。育英祭2日間は学園全体が人で賑わい、私たちの記憶に深く刻まれた最高の2日間であったと思います。冬には研修旅行が行われ、貴重な校外での経験の数々に心躍らせながらも大学訪問を通して、これから控えている厳しい大学受験に対する決意を新たにする機会でもありました。楽しい時間を共に過ごすことで、2年次に上がる際に行われたクラス替え以降、未だクラスに馴染めていなかった友人も研修旅行をきっかけに皆と打ち解け、クラスの結束がより一層強まったのをよく覚えています。

 そして、3年次になると皆が自身の進路実現のため、これまで培ってきたものを自分の「武器」として、就職活動や受験勉強に勤しみました。肉体的にも精神的にもつらく厳しいものでしたが、この1年間を経験することで1人の人間として一回りも二回りも大きく成長することができたと強く実感しています。私たちの中にも、自身の目標を達成出来た者やそうでなかった者、進路が決まっている者やこれから決めようとしている者などもいるかと思います。しかし、今、私たちは3年間学んだこの学園を離れ、各々が新しい生活を始める出発点におり、皆、期待や不安、決意など様々な感情を胸に抱えていることでしょう。

 私たちの進む道は予想もつかず、大成し成功者と呼ばれる人生を歩む人もいれば、ひどく険しい道を進むことになる人もいるかもしれません。どんな困難が立ちはだかろうとも、これからの世代を担っていく立場である私たちは、この仙台育英で培った教養や人間性を存分に発揮し、少しでも社会に貢献できるよう、日々邁進し続けていきたいと思います。

 
 私たち卒業生が紆余曲折ながらも高校生活を全うすることができたのは、周囲の支えがあってのことです。未熟な私たちを時には熱く、時には冷静に指導してくださった先生方。私たちの手本となり、道を示してくださった先輩方。仙台育英の伝統を引き継ぎ、私たちを慕ってくれた後輩たち。苦楽を共にし、切磋琢磨しあった友人たち。私たちをいつも、温かく見守ってくださった地域の皆様や職員の方々。そして、どんな時でも私たちの心の支えとなってくれた家族。お世話になったすべての方々に深く感謝し、厚く御礼申し上げます。

 最後になりましたが、校長先生をはじめとする全ての先生方、職員の皆様、並びに本日御出席くださいました御来賓の皆様の御健康と御多幸、そして仙台育英学園の更なる飛躍と発展を祈念し、答辞とさせていただきます。

平成27年3月1日
卒業生代表 特別進学コース3年 髙橋