人々の記憶に、さまざまな形で、心に、刻み込まれた3月11日。東日本大震災は、たくさんの人の命を奪い、私たちにとって大切な多くのものを壊し、心に大きな傷あとを残していきました。
 思い起こせば、高校1年の大半を過ごした、旧宮城野校舎。ここで春には、校門のところにあった桜の木が満開に花を咲かせ、風で花びらが散ると、あたり一面、桜の絨毯を敷き詰めてくれました。まだ真新しい制服に身を包みながら、きれいだなあと思ったことを今でも思い出します。
 夏には、昭和に建てられた古い校舎ではありましたが、冷房が完備され、汗をかくことなく、勉強できたあの時期。
 秋には、育英祭の準備で忙しくなり、仲間とともに作業をしていたあの時。
 冬には、学習室や図書館は、受験をひかえた、先輩たちが張り詰めた空気の中、その雰囲気を感じつつ、隣で勉強できてとてもいい刺激になったあの頃。
 私たち在校生はもちろん、同窓生のみなさんにもたくさんの思い出を残してくれた宮城野校舎は、大切な、大切なかけがえのないものです。今でも、私たちの胸の中では変わることはありません。
 震災によって校舎が壊れたときは、そんなにも巨大な地震だったのかと驚きましたが、新しい校舎ができると聞き、本当にうれしく思いました。復興が滞っている地域もある中、幸いにも、この学園は、たくさんの方々に支えられ、多賀城校舎では通常通り授業を再開することができています。私たちを支えてくださった多くの皆様に感謝したいです。本当にありがとうございました。
 私たち在校生一同は、あの震災を乗り越え、東北の復興の力になれるよう学業に励み、新たな歴史と伝統を築いていく決意をあらたにしています。そして、これからの私の後輩となる生徒のみなさんが、ここでかけがえのない青春時代を新しい校舎と共に、きずきあげていってほしいと思います。
 最後になりましたが、校舎の建設工事の無事と安全を祈念し、生徒代表の言葉とします。

 

平成24年1月23日


仙台育英学園高等学校 生徒会会長