私が初めて多賀城校舎を見たとき、建物の堂々としてきらびやかな雰囲気に圧倒されたのを今でも鮮明に覚えています。震災を乗り越えた今もその風貌は変わることなく、いつも温かく私たちの成長を見守ってくれているようにさえ感じるほどです。震災が起きたとき、かつてない揺れに恐怖感はありましたが、校舎にいるというだけで安心感がありました。
 それから授業が再開するまで、学校へ通えない日が数日間続きました。これまで当然のように思っていた「学校へ通う」ということが出来なくなり、そのとき改めて学校というものがいかに大切か気付くことが出来ました。
 人それぞれに学校の意義は異なると思いますが、私にとって学校とは人との出会いの場であり、私たちが成長するうえで欠かせない場所であると思います。学校へ行けない数日間の間、いつも友達の事や学校に通っていたら今頃どんなことをしていただろうか、などということばかり考えていました。
 学校が始まり、震災前と変わらず友達や先生がいてくれること、日々通える場所が存在し自分の居場所があるということが、これまでの間どれだけ自分の糧となっていたか、改めて感じました。
 旧宮城野校舎は残念ながら、今回の震災で建て直すことになりました。その間、旧宮城野校舎で学んでいた生徒たちは多賀城校舎に移動し、両校舎それぞれで学んでいた生徒がともに過ごすことになりました。互いに突然の環境の変化にとても不安を感じたことと思います。しかし、復興という目標に向かって全員が一つとなり、切磋琢磨し合い、前進しているように思います。
 東日本大震災を体験したことにより、私たちは多くのものを失いましたが、同時に今まで忘れてしまっていた本当に大切なことに気付くことが出来たのではないかと思います。そしてこのような体験をした私たちだからこそ、世界中の人々へメッセージを伝えることが出来るはずです。
 新しく建設される宮城野校舎は世界をつなぐ架け橋となるようなグローバルな教育を行う拠点となるでしょう。また、復興の象徴として、建物を見上げる人々に力を与える、そんな校舎になるだろうと確信しています。

 

平成24年1月23日


秀光中等教育学校 生徒会会長