銅ナノ粒子は銅を溶かしたものに錯化剤を加えて、錯体と銅イオンを組み合わせたもの。本当に銅ナノ粒子ができているのかどうかを確かめるために、2つの班に分かれて3つの方法で確認しました。
■UV-VIS(紫外可視光分光光度計)
色変化で金属イオン、錯体を“見る”
銅イオンに太陽光を通すと、光が吸収されます。UV-VISで、光の波長と、何色を吸収するのかを目で確かめます。銅の他にも白金など計6種類の溶液を用意していただき、それぞれの値を予想しながら計測していました。
■SEM(走査型電子顕微鏡)
電子線でナノ粒子を“見る”
SEM(Scanning Electron Microscope)は、電子線を当てて物体の形を確認できるため、本来肉眼では見ることのできない、光の波長よりも小さなナノ粒子を観察することができます。
モニターに映されたナノ粒子の映像を一人ひとり実際に操作し、画像をスキャンさせていただきました。また、生徒の髪の毛をSEMに設置し、表面を見てみることに! ナノサイズの世界で見る髪に、生徒たちは驚きの声をあげていました。
■TOF MS(飛行時間型質量分析)
質量の変化で金属イオン、錯体を“見る”
イオンの重さはそれぞれ異なるので、錯体がくっついている銅ナノ粒子は必然的に重くなります。そこでTOF MS(Time Of Flight Mass Spectrometry)でレーザを当ててイオンを飛ばし、その速さを計測することで何の物質なのかを確かめます。
ナノ粒子を使って「Touhoku Univ.」の文字を書こう
電池基盤にマスク(遮光)を施して紫外線を当てると、マスクをした部分へ選択的に銅ナノイオンを積み重ねることができます。
生徒は一人ひとり、大学院生の方の説明を受けながら加工を施しました。反応を終えたあと、電池基盤にキセノン灯を当てると「Touhoku Univ.」の文字が浮かび上がりました。生徒はナノ粒子ならではの精密な線を、真剣な様子で観察していました。
東北大学工学科では現在銀を使用して配線が作られている太陽電池にこの技術を応用しようと計画されています。似た性質を持ち、値段は銀の100分の1という安価な銅で太陽電池を普及させれば、環境問題への解決につながると話してくださいました。
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