第2回サイエンス・コ・ラボ 『酵素でバイオ発電』

 
実験内容

 はじめに西澤先生から「酵素とは生体内の触媒のこと。さまざまな種類があり、現在人間は酵素の働きを促すことはできても、同じ酵素をつくり出すことはできない」と酵素が非常に複雑なしくみになっていることが説明されました。

電極作製ーナノ墨汁塗布ー電気を流す紙を作る


 カーボンナノチューブが電気を通す働きがあることを確かめます。大学院生の方々の指導を受けながら生徒たちはカーボンナノチューブが入った“ナノ墨汁”を筆に付け、好きな文字や絵を筆で描きました。テスターという計器を当ててみると、ナノ墨汁を塗った部分だけに電気が通っていることが分かりました。


酵素電極の作製
 
 ナノ墨汁を塗布した小さな和紙を乾燥させ、電極を作製します。「ナノメートルの世界を想像し、丁寧に作業してもらうとそれだけ流せる電流の値が大きくなるはずです」、と西澤先生からのアドバイスが。正極・負極として使う酵素をカーボンナノチューブにくっつけ、実験用にたくさんの酵素電極を作ります


測定回路の作製

 

 酵素電極が出来上がるまでの間、電池評価回路を組み立て、抵抗の値を確認してグラフに書き込んでいきます。LEDが点灯すれば、回路が正常に組み上がっているのが分かります。

発電性能の評価

班ごとの電池の能力値を、ランキングで発表

 生徒たちが慎重に完成した酵素電極をグルコース溶液にひたし、電池評価回路、テスターとつなぎあわせ電圧を測定します。
 各班対抗で「酵素で発電コンテスト」も行われ、最後に全ての班の発電性能が発表されました。1位の班の値は、11.7μWと、“3年間実施した中での最高記録”でした!

 


酵素発電&LED点灯

グルコースが含まれる飲み物で実験!

 グルコース溶液の代わりにジュース(コカコーラ、カルピスウォーター、ゼロカロリーコーラの3種類の清涼飲料)を入れて、LEDライトが点滅するかを調べます。点滅の間隔が早いほどグルコースの濃度が高く、多くの電流が流れていることを確認できました。
 3種類のうち、グルコースが含まれないゼロカロリーコーラは酵素がはたらかないので発電しませんでした。


 「最後に、これで発電してみましょう」と出てきたのは、なんとどら焼き。餡の部分に電極を差し込み、LEDが光ることを確認しました。
 どら焼きに関連した話題で、将来猫型ロボットを動かすエネルギーに酵素電池の技術が使われるかもしれない…という楽しいお話もありました。

 

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